Reminder of architecture

記憶する建築~大谷石造りの伝統を継承する

2011年3月11日の東日本大震災は各地で建造物に多大な被害をもたらした。栃木県においても多くの建物が被害を受けた。
中でも栃木県の文化である大谷石を使用した建物は多大な被害を受け、大谷石は栃木県内で最も多い震災廃棄物となった。
独特の温もりと柔らかさを醸し出す大谷石は、宇都宮の貴重なまちづくり資源であり、古くから街並を造り出してきた。
この廃材となった伝統資源の大谷石を再利用し、形を変え文化を継承した建物が今回の建物である。
今回、古くから家族の備蓄庫として使用されてきた大谷石蔵が震災により倒壊した。
何代にも渡り家族の思い出が詰まったこの大谷石蔵を利用し再生できないかという施主の想いが建築のテーマとなった。
  • 何代にもわたり家族の思い出が詰まった大谷石蔵

  • 震災でダメージを受け解体 ▲家紋   ▲記憶の扉

  • 大谷石を30mmにスライス

  • スライスした大谷石を壁に貼る

  • スケルトン/耐震木造骨組

工法の検討

 現在栃木県に建造されている建物の多くは今回被害を受けた物と同じ「積石工法」による大谷石蔵である。「大谷石蔵」は明治の近代化以降、西洋レンガ造の石造工法が輸入され、輸送手段が発達した事から主流となり栃木の人々の生活に根付いていった。それゆえ、現在、大谷石建築といえば「積石工法」を思い浮かべられる。しかし、大谷石建築の起源を辿り、江戸時代後期から大正時代初期にさかのぼると、木造軸組に大谷石を張った「張石工法」が主流であった。
 「積石工法」による大谷石蔵は長く人々の生活に根付いてきたが、今回の震災で顕著に表れたように、耐震性に優れているとは言い難い。今回、工法を検討するにあたり積石工法による建替えでは無く、耐震性に優れた耐震木造工法を構造躯体に据え、倒壊し廃材となった大谷石を壁に使用する「張石工法」により建築する事とした。前述の通り、大谷石建築の原点は「張石工法」である。耐震木造建築への「張石工法」を採用することにより、大谷石建築の原点回帰すると共に、倒壊した大谷石蔵を外壁に利用する事で、家族の想いを未来へ継承する。

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